夢だった小学校の先生③
大学に入った私は、適度にバイトをし、遊び、学生らしい生活を送っていた。
長期休みには、大学近辺の小学校でボランティアをし、着々と夢を叶える準備をしていた。
ボランティアでは、支援が必要な子供の補助をしたり、休み時間に子供たちと外に出て思いっきり遊んだりした。子供たちが本当に可愛くて、先生になりたい夢は大きくなっていった。
ボランティアで出会った子供の中で忘れられない子がいる。小学校3年生のライカちゃん。
フィリピン出身で私が補助に入る1週間前に転校してきたばかりの子だった。日本語がほとんど喋らなかった。その学校の教頭には、「とにかくひらがなを教えてあげてほしい」と言われた。
クラスのみんなが一斉授業を受ける中、私はその子の隣に座り、挨拶をした。ライカはすごく寂しそうな顔をしていた。私に対して警戒しているような感じだった。
きっと言葉が通じない国に来て、友達とも馴染めず、不安に思ってるんだろう…
私は持っていたメモに「i'm Miwa」と書いた。少し微笑んでくれた。そして覚えたての日本語で「らいか」と書いてくれた。
私はりんごのイラストを描き、横に「りんご」と書いて発音をしてあげた。ライカも「りんご」と発音をしてくれた。そのようなやり取りをボランティアの期間中はずっと行なっていた。
ライカは自分の家族や好きなことを話してくれた。話すといっても日本語は話せないので、イラストとつたない英語を組み合わせてなんとかコミュニケーションをとった。でもそれはすごく楽しかった。
2週間のボランティアの最後に、ライカは泣きながら「LOVE」と書いてくれた。絶対先生になろうと決意をした。
もし今も日本にいるなら、ライカは高校生になるのかな。元気にしているかな。
色々な国籍や文化を持った子が、日本の公立小学校に入学することは、これから増えてくるだろう。そんな子供たちが少しでも安心して、楽しく学校へ通えますように。